富山県高岡市での新規就農から法人化へ。酪農家が地元の高岡高校生に伝えた「ロゴの秘密」と「課題発見力」
こんにちは!富山県高岡市で放牧酪農を営む「クローバーファーム(clover farm)」代表、そしてポッドキャスト『百年酪農』配信者の青沼光(あおちゃん)です [2, 5]。
2026年8月20日、富山県立高岡高等学校の生徒さんたちを迎えて、私たちの牧場で素晴らしい企業連携(探究学習)の第2回対話が行われました [2]。今回は、私たちと連携する班のほか、他企業と連携している生徒さんや、富山大学の先生・学生さんも交じって、クローバーファームの取り組みに深く触れてくれました [2, 3]。
この記事では、彼らとの対話から生まれた**「2つのロゴに隠されたクローバーファームの経営哲学」、そして、これから社会へ羽ばたく若者たちにどうしても伝えたかった「社会で本当に必要とされる『課題発見と言語化』の力」**についてお届けします。
1. 2つのロゴが語る、クローバーファームの歩みと「HAPPY DAIRY COWS」
高岡高校や富山大学の皆さんに牧場の仕事を案内したあと、私はクローバーファームの**「ロゴ」に込めた想い**をお話ししました [4, 5]。
クローバーファームは2015年の個人創業から、3年前の法人化を経て現在に至るまでに、2つのロゴを作ってきました [5, 16]。それぞれのロゴには、私たちの酪農にかける歩みと、深まり続ける経営哲学が刻まれています [5, 16]。
① 【個人創業期のロゴ(2015年〜)】「地域への恩返し」と「幸せの循環」
広島県の非農家出身である私が、縁もゆかりもない富山県高岡市国吉地区で、廃業予定の牧場の設備や牛を買い取る「第三者継承(新規参入)」の形でクローバーファームを始めたのは2015年のことでした [5, 6, 8]。
初代ロゴは、**「四つ葉のクローバー(牛の好きな草=シロツメクサ、幸せの象徴)」に、上へ上へと登り経営の上向きを象徴する「てんとう虫」をあしらい、クローバーの葉の1枚を「ホルスタイン柄(牛柄)」にしたものでした [6, 14, 15]。中学時代のデザイナーの友人が作ってくれたこのデザインには、「地域への深い感謝」**が込められていました [6, 14]。
- 逆風だらけの新規参入: 実績のない若者が新規に酪農を始める現実は、想像以上に厳しいものでした [6, 14]。地元の農協(JA)からは、初見の段階で「うちは畜産業への融資は一切しない」とはっきりと断られました [10]。市の担当窓口でもノウハウがなく県を勧められ、県に相談へ行けば「今の牧場のほうが給料も休みもいい。なぜ辞めて自分でやろうとするのか」と猛反対を受けました [11]。地元の地方銀行を何軒も回るも、受け取った計画書の後に連絡が全く来ないか、店頭で断られる日々でした [12, 13]。
- 支えとなった「地域の人々の温かさ」: しかし、後に熱心な行政担当者との出会いによって、3700万円の新規就農資金を無利子・無担保で借り入れることができました [11, 12]。何より、騒音や害虫問題などで嫌われやすい畜産業でありながら、国吉地区の自治会や住民の方々は「若い人が引き継いでくれる」と、本当に温かく応援・協力してくれました [7, 8, 9]。
この時、私は**「酪農を通じて多くの幸せを生み出し、この地へ恩返ししていきたい」と誓いました [14]。それこそが、私たちの原点である理念「HAPPY DAIRY COWS(乳牛の価値を高め、幸せにすること)」**なのです [15, 21]。
② 【法人化後のロゴ(3年前〜現在)】「調和」「循環」と「全員が主役となって輝くこと」
それから経営を続け、3年前に法人化する際、ロゴを新しく作り替えました [16]。
新しいロゴは、クローバーファームの頭文字である小文字の**「c」と「f」を繋げて、無限(∞・8の字のマーク)**をかたどったデザインです [16]。ここには、次の3つの想いを込めています [17]。
- 循環
- 調和
- 持続性・継続性
- 「自分のための酪農」から「社会のための酪農」へ: 中学2年生で酪農に憧れ、農業高校に進んだ頃、私の夢の「8割」は「大好きな動物に囲まれて暮らすような生活がしたい」という自分中心のものでした [17, 18, 19]。しかし、実際に経営をしていく中で、「仕事の本質は、誰かの役に立ち、社会の役に立つことだ」と気づかされました [19, 20]。
- 牛たちの幸せ(永続性)を守るための規模拡大: 「HAPPY DAIRY COWS」を本当に実現するためには、社会から酪農が必要とされ、評価され続けなければなりません [21]。業界が縮小し、牛乳や牛肉が必要とされなくなれば、乳牛の群れごと消えてしまうからです [21, 22]。だからこそ、私たちは法人化し、規模を拡大して人を雇える体制を作り、社会や地域に貢献できる事業のインパクトとスピードを高める決断をしました [24, 25]。
- ロゴに光る「星マーク」に込めた願い: 新ロゴの繋ぎ目には、一つだけ**「星マーク」が入っています [25]。 この星は、「私自身であり、働く従業員一人ひとりであり、牛一頭一頭であり、関わってくれる地域社会や人々」**を表しています [25]。 空でひと際明るく輝く星のように、社会から見られているという自覚と責任を持ち、「自分はHAPPY DAIRY COWSを叶えるためにどう輝き、どう動くか」を一人ひとりが主体的に主張し、関わっていける牧場でありたいという想いを込めています [26, 27]。
2. これから社会へ羽ばたく高校生へ贈る「課題を発見し、言語化する力」
牧場を案内し、こうしたロゴの変遷や経営理念について伝えたあと、私は生徒たちにこう問いかけました。 「日々活動する中で、何か聞きたいことや、相談したい課題はある?」 [29]
しかし、その場ではパッと質問や課題が出てくることはありませんでした [29]。私はその姿を見て、彼らに将来社会に出て本当に必要となる、最も大切な話を伝えました [28, 35]。
それが、**「課題を正しく認識し、言語化する力」**です [27, 35]。
① 「課題があること」はネガティブではない。むしろ健全な状態である
若い頃の私は、「すべてが順調で、課題なんてない状態が良い」と思っていました [29]。 しかし、今は全く違います [29, 30]。**「課題が見えていることこそが、最も正常で健全な状態」**なのです [30]。
勢いがある時や浮足立っている時は、世界が自分中心に動いているように錯覚し、課題が見えなくなります [30]。しかし、それではどこに向かっているかを自分でコントロールできず、気づいた時にはただ時間やおカネを浪費していたということになりかねません [30, 31]。 全体を冷静に俯瞰し、日頃から「こうありたい、これを達成したい」と真剣に考えているからこそ、それを阻んでいる「ハードル(課題)」が正しく見えてくるのです [31, 32]。
② 見つけた課題を「社会に伝わる言葉」に言語化する重要性
課題が正しく認識できていれば、あとはその解決策を模索して実行するだけです [31, 33]。しかし、自分一人だけで解決できる仕事はありません。仕事とは、地域社会や他者と接点を持つことだからです [33]。 だからこそ、自分が感じている問題意識や課題を**「客観的かつ社会に伝わる言葉」として言語化し、周囲に伝えて巻き込んでいく力**が必要不可欠になります [32, 33]。
日頃から「どうすれば課題を解決できるか」を本気で考えて取り組んでいるかどうかの姿勢は、こうしたチャンスの場面で「パッと質問や課題を投げかけられるか」という瞬間の態度に現れてしまいます [34]。
将来社会に出て働くとき、他の人や同業者との差を分けるのは、**「人より多く課題を見つけ、それを言語化して解決に向けて行動できるか」**という点です [35]。課題を発見し言語化する力こそが、あなたの仕事の社会的価値を高め、会社、ひいては社会をより良くする原動力になります [35, 36]。
3. 私たちが働く本当の意味:「次の世代のために、今できること」
仕事とは、ただ生活費やおカネを稼ぐためだけの活動ではありません [36]。 私個人の仕事の根底に常に置いている信条は、**「自分の仕事を通じて、次の世代の生活がより良くなったらいいな」**という想いです [36]。これは、クローバーファームや酪農といった枠組みすら超えた、一人の大人の、社会人としての共通の心持ち(信条)であるべきだと考えています [36, 37]。
もし、こうした想いを持って日々仕事に取り組む大人が社会に一人でも増えれば、この社会はすごいスピードで良くなっていくはずだと、私は本気で信じています [37]。
高岡高校の企業連携班の皆さんの探究活動は、ただの「学校のカリキュラム」ではありません。高校生という若くまっすぐな視点で社会のリアルな課題を見つけ、大人と一緒に本気で解決策を模索する、そのプロセス自体がすでに未来を良くする確固たる第一歩なのです。
彼らの探究学習がどのような素晴らしいアイデアに結びついていくのか。これからも一人の「大人」として、彼らの本気の挑戦に伴走し、応援し続けていきたいと思います。
【ポッドキャスト『百年酪農』について】 富山県高岡市で新規就農し、株式会社clover farmを営む青沼光が、酪農現場から日々感じたリアルな想い、経営の葛藤、未来への挑戦を編集なしの生の声でお届けする農系ポッドキャストです。 日々の作業をしながらの「聴く酪農体験」として、ぜひ各種配信プラットフォームから聴いてみてください!
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- clover farm 公式ウェブサイト:http://clover-farm.blogspot.com/
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