良い人に逢えたと思っている

 初めて社員を雇うにあたって、いろいろ不安もありました。

そもそも、酪農家になりたいと思ったきっかけが

家にずっといたかった。人と接点を極力少なくしたかった。

思うままに生きたい。というわがまま。

対人関係に必要な神経のすり減りを人生の中で極力小さくしたかった。

そういうのがあって、酪農家を目指し、その中でイメージしていたのは

自分+家族で手の届く範囲の酪農と、手の届く生活だった。

チャンスを貰えて飛びついた今の環境は、酪農を”普通に”やっていく事も

この先難しくなることが想定されるような、日本の中でも非常に厳しい

酪農過疎地帯。インフラが持っているのが不思議なくらいで、

このまま自分のわがままを通してやっても20年後、30年後に

今の”普通”が通用しなくなるんじゃないかという危機感から、

「必要な努力をしよう。」と思ったのが一つのきっかけ。

そもそも県内の消費者に県内産生乳の供給が足りていない

この生産状況を見ぬふりして生産を続ける事に罪悪感もあった。


一つは自分の牧場の後継者を育てて、まずはclover farmに暮らす

牛たちの未来を約束してあげることが生き物を利用して生きる

私に課せられた当然の義務という思いはあった。

その傍らで、この地域において酪農が普通に継続できるためには、

生乳生産量をこれ以上落とさない。むしろ私の知る限り10年以上

毎年減り続けてきた生乳生産を増産していく事で、

必要なインフラを30年後、100年後も維持していく。

そして、富山県内の消費者に新鮮な県内産牛乳を届ける事。

出来れば潤沢に。できれば地域資源をしっかり活用して。

こういったことを今後はしていきたい。するべきだ。

そう考えて開業から7年。動き続け、声を出し続けてきた。

その結果かどうかはわからないが、人の縁、出会い、

同調してくれる方が増えてきて、このたび高岡市でも

クラスター協議会の立ち上げに動いてくれました。

そして国吉地域一帯の農業者と協力して循環型の耕畜連携を軸とした

高岡市の農村の盛り上げに踏み出すのと同時に、

clover farmの増頭増産を目指した多額の投資に向かって動いています。

より良い環境を乳牛に提供する事、そして、減り続ける

酪農をやる人を集め育て、肩を並べて生きていく仲間を増やす

そんな目標の入り口にも立つことができてきました。


そして、本格的に事業開始となる前に、一緒にclover farmを支えてくれる

仲間を探していたところ、縁あってつながった子が、最初の社員です。

人っていうのはわからないもので、口は好きに動きます。

なので、その人が本当にどういう人かなんて、短時間じゃわからない。

ちょっと一緒に生活してみたって、あとからどんどん色々ずれてくる。

重視したのは、そもそも牧場の理念を理解してくれるか、同調できるか。

そして、”他者をおもんばかれるか”でした。

人の世に生きながら、人を理解しようとしない。

自分の心、視点、考えでしか他者の心を見ることができない。

そういう配慮に欠く人間関係はこれまでも多く見てきて、

正直ウンザリしていてだから家族酪農をなんて思っていましたから、

こうして人を招き入れる事が今後、自分の世話する牛たち、その牛群の未来を

思えば必要なことだと思っていても、抵抗はありました。


でも、今では良かったなぁって思います。

すごくほっとしています。

まだまだこれからなのかもしれませんが、だいぶ安心しています。

生活に余裕ができたし、仕事が凄い勢いで進みます。

なによりも、牛の事一本になってた、半ば癖になっていたその私の心情にも

ゆとりが生まれて、漫画を読んでみたり、本を読んでみたり、

ポケモンGOをしてみたり。

一緒に畑をいじったり、ポケモンGOで遊び相手になってくれたり、

妻と料理や女子トークをしているのをみても、

ほんと上手くハマってくれてるなぁ。ってシミジミ思います。

とまぁ、しばらくSNS等から離れ気味でしたが、

そんな感じで充実した時間を過ごさせていただいています。


さて。今週は住民向け説明会です。

多分色々言われます。

が、畑をいじってたら寄ってきて

「頑張れよ!思うようにやったらいい!感心してる!」って

声をかけてくれる方もおられます。


clover farmだけでなく、地域農業全体を”よりよくするために”必要な挑戦だ

という事を理解してもらえるように、準備を進めています。


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