牛の管理に正解はある

乳牛を健康に長く飼う事は、酪農家自身の経済的側面でも
乳牛自身の為にも、どの酪農家も目指すところ。

そして、各研究機関や学校、コンサルや獣医においても、
酪農家の為に、乳牛の為にと、日夜様々な取り組みがされている所です。

私自身も同様に、乳牛を上手く飼うために日々勉強させていただいているわけですが、
その中で、肝に銘じている事が一つあります。

それは、「手法に飛びつかない&試さない」こと。
あの人が、あの方法で繁殖良くなったらしいよ。
とか
あの製品つかったら、予防になるってよ。

というような情報が日常にはあふれています。
「へー!そんなにいい結果出てるんだ!やってみよう!」ではなく、
「なんで?」で入って情報を集めるようにしています。
そこで、「らしい」とか「逆説」する事でつじつまが合わなくなる情報、
また、その手段を用いる事で、乳牛における他の生理機能と相関が無い情報は、
「ふーん」と聞き流して、心に留め置くだけにしています。

ほしいのは、乳牛の細胞レベル、もしくは生理現象の情報です。

手法のバックグラウンドや理屈、その結果を上手に語れたとしても、
一つの成果を目指すだけの手法が、長く乳牛に利用できる技術であるとは限らない。
牛だって、生き物ですから、絶妙なバランスの上に健康が成り立っています。
その一部分を良くしようと、
その単片的な部分を切り取った理屈で整合性が取れたとしても、
それによって、他の歯車が噛み合わなくなり、弊害として現れてしまう。
そうして生じた問題点を、よくしようと、また単片的な捉え方で技術を駆使することで、
その問題点は解決しても、また別の場所が悪くなる。

そうして歪な乳牛が出来てしまう。

乳牛は、少なくとも、私と共に暮らす乳牛たちは、実験動物ではなくて、
生計を共にする、運命共同体ですから、己の知識と技術を披露する対象ではなく、
ただただ、長く一緒に過ごせる関係でいられる様に、
シンプルに、我が家の牛に足りていないものを満たす事に集中したいと思っています。

そして、真に高能力の乳牛というのは、全てが健全な牛である事は間違いないです。
乳量も出る。乳成分も高い。繁殖も良い。病気も少ないし、安定している。
乳牛を扱う酪農において「いいとこどり」こそがベストで可能。
乳量はいいけど~。とか、繁殖は良いけど~。なんてのは、
まだまだ乳牛の本質を活かしきれてない証拠でしか無いという事。

乳牛の飼養管理に、正解は必ずあると思っています。
そこを目指さないと、方向性を誤ってしまう。
言い訳で取り繕った酪農家に私はなりたくないと思うから、
自身の明確な方向性の上で、しっかり牛と、この先の時間を楽しみたいと思います。