乳牛とBCS

牛を「健康」に飼う際に、様々な指標が示されてきました。
その中にBCSという管理指標があります。
これはBody Condition Scoreといって、牛の肥満度を数値化するものです。
乳牛において、肥満は分娩時のリスクを増大させるとして
出来るだけ太らせないで、かつ必要な栄養を給与していく事が重要だと習います。
しかし、この意識が過剰な場合、つまりBCSのコントロールが目的となった
餌の設計をしてしまった場合、牛の健康は損なわれる場合が出てくると感じています。
私は、BCSは全く気にしていなくて、むしろ飼料のバランスを注視して
それを牛が食べたいだけ食べ放題の状態をとっています。
そうすると、太ってくる牛もいれば、さほど太らない牛もいます。
それはもう個体差として考えています。
人にしても、どんなに食べても太らない人、食べなくても太る人が居ます。
牛もそうだと思っています。
太りやすい牛、太りにくい牛がいます。
それを無視して、全ての牛を一定のBCSにコントロールしようとすることで、
牛の健康を損なわせてしまっている可能性があると考えています。
太りやすい牛を太らないようにコントロールしたらどうなるか。
そもそも、人間でもそうですが、妊娠したら太りやすくなります。
そして、乳牛は常に妊娠させている状態を目指して管理しますから、
そういった状態の牛を、太らせないように管理することそのものが
生理的な状況に逆らった管理法だとさえ思っています。

牛は、微生物を介して消化をする動物ですから、
その微生物を良好に維持する餌のバランスに集中して、
あとは牛がどうするか、どうなるか。
私はそれにゆだねています。

よく太り過ぎじゃない?大丈夫?と心配されることがあります。
でも、分娩は95%が自然分娩ですし、周産期疾病とされる
後残停滞は殆ど発生せず、12時間以内にほぼ胎盤の娩出が終わります。
開業から第四胃変異の発生はゼロですし、低Caの発生も2年間ありません。

こういった結果を見てきて、BCSにとらわれた管理は
かえってマイナスに働いているのではないかとさえ思います。
BCSを適正と言われる数値で管理して、管理しようとして、
目の前にいる牛は本当に健康ですか?

酪農には多くの管理指標がありますが、
その多くが牛の個性を無視した人間目線の指標でしか無いように思えています。
自分の牛が、自分の行っている管理で、何を物語っているか。
ちゃんと見て、冷静に結果を受け止めた時、偉い人の言う指標と結果に
矛盾を感じた時、それでも信じて続けるか、変えていけるか。
答えは指標の中にではなく、牛が示していると思います。

今日は乳牛とBCSについて思っていることを書いてみました。
指標に惑わされず、牛が何を語っているか、今一度、声を聴いてあげてみてください。